第116話から第119話までの担当者紹介!


今週からは関西人スチュワード、トシさんの2度目の登場です。
トシさんへのファンレター、感想メールは大歓迎なのでドシドシ送って下さい!


 

第116話東京 VS 大阪 -  17 Jul .2003-


テレビや雑誌などの特集で、東京と大阪の比較を目にすることがありますが、
私の会社のように日本人クルーの数が多く、日本の複数都市に就航している
会社では、クルーの間でもそれがよく話題になります。

東京と大阪の間では、お客様の性格にもかなりの違いが出るようです。
大阪のお客様は、なにか失礼があった場合や不愉快なことがあった場合、
かなり派手に感情を表現されます。しかし、いったんそのことが解決されると、
あとはケロッとなさって御帰りの際には機嫌よくクルーに挨拶などされたりします。
それに反して東京のお客様は、一度ご機嫌を損ねると後はもう何をしても
何を言ってもだめ、最後まで何も食べない何も飲まない、挙句の果てには
「もう二度とこの会社には乗らない」という捨て台詞を残して去られる方が少なくありません。

これは実利主義の商人の町であった大阪と、実利よりも面子や体面を重んじる
武士の町であった東京との違いによるものなのかもしれません。 ともあれ、
どちらがよりクルーにとって難しいかというと、やはり東京のお客様のようで、
東京出身のクルーでさえ「大阪のお客様のほうが好き」という人もいます。
かくいう私自身、大阪出身ですので、どうしても大阪のほうに軍配をあげたくなります。

このことを、東京出身のある友人(クルーではない)にぶちまけてつらつらと
愚痴をこぼしておりましたところ、「でもね、本当に親しくなった場合、親身に
接してくれるのは東京の人のほうなんだよ」と言われました。
彼いわく、関西の人は、初対面は人あたりがいいけど、どこか排他的なところがあり、
心のそこから打ち解けるのは相当難しいというのです。それに反して、関東の人は
はじめはよそよそしいけど、いったん親しくなって身内になると、
本当に親切にしてくれるのだとか。

そう言われてわが身を振り返ってみれば、自分にも無意識のうちに
「関西弁をしゃべる人としゃべらない人」という分類をするような傾向があり、
関西以外の人に対しては「どうせこの人関西弁しゃべらへんしー」というように、
言葉に出さず腹のうちで考えていることがあります。

これを私の友人が読めば、「こいつってこんなこと考えてたのか!」と
思われるかもしれませんが、関西人には多かれ少なかれ、
そういうところがあるのではないでしょうか? 
地元を離れても、たとえ東京に行っても、方言を捨てない
のは関西人だけだと言いますし…。

そうは言っても、ほとんど一期一会のチャンスしかないクルーとお客様の間では、
やはり大阪のお客様のほうが気楽であることに違いはありません。
しかし、逆を考えれば、むしろフライトの短い時間の中で、馴れ馴れしすぎることなく、
より相手の心の中に入っていけるようなサービスをこころがければ、
東京のお客様も難しいものではない、ということが言えるのではないでしょうか。

クルーとして、限られた時間の中でお客様とのよりよい関係を築くことは
永遠のテーマであります。

 

 


 

第117話男性クルーから見た航空業界 -  30 Jul .2003-


近年では男性クルーを採用する航空会社も増えてきました。
女性だけの職場と思われていた空の上の仕事も、
少しずつ変わってきているようです。これには、男女雇用機会
均等法などの影響に加え、女性の社会進出にも関係があるようです。

かつては、飛行機に乗られる御客様は、一部の限られた男性客が
圧倒的に多かったそうです。しかし、最近では格安の海外旅行の普及に加え、
役職についている女性のビジネス客も多くなり、サービスする側が女性、
サービスされる側が男性という図式は過去のものとなってきました。
また、航空利用の普遍化に伴って、空の上での暴力事件なども増加する傾向にあり、
男性クルーが用心棒(?)的な役割を期待されるようにもなったのではないか、
という話を聞いたことがあります。

私の会社でも、ここ数年男性の新人クルーの割合が圧倒的に増えているようで、
会社のそういった姿勢が伺えます。 実際には、この仕事はイメージとは違って
意外と肉体労働なため、やはり男性の助けは必須なのだと思います。
いずれにせよ、この仕事につきたいと考えている男性にとっては喜ばしいことでしょう。

しかし、幾ら男性の数が増えつつあるとは言え、まだ一般的には女性中心の職場です。
男性導入の経験もあまり長くありません。その環境で日々働くことを通して、
自分が感じていることを軽く書いて見ました。
あらかじめ断っておきますが、これは自分の会社だけの特殊な状況によるものであり、
あるいは同僚の中にも違った考え方を持つ人もいるでしょう。
一つの航空会社しか知らない私の、独断と偏見によるものだということだけは、
理解しておいてください。

まず、男性の数は圧倒的に少ないですから、目立ちます。
一つのフライトに男性が一人だけということも珍しくありません。
(ちなみに、私の会社では毎便違うメンバーのクルーで構成されています)
ですから、名前と顔は絶対に覚えられます。 また、何かとちやほやされることも多いです。
なぜか、厳しいとか怖いとか言われている先輩クルーほど、男性に甘いような気がします。
「今日はギャレーに男の人がいるから、ウチのお姉さんも機嫌がいいわ」
という人もいました(注:各ギャレー担当の女性リーダーのことを、私の会社の
日本人の間ではお姉さんと呼んでいます)。

しかし、逆にこちらが女性のことを覚えるのはやさしいことではありません。
仕事中は、メイクアップや髪型も「営業用」なので、ステイ中に私服でいるときは
かなり雰囲気が変わる人が女性には多く、ホテルのエレベーターですれ違ったときに
「Hi Toshi!」といきなり話し掛けられて、この人誰だったっけ?と戸惑ったことも何度かありました。
最近では、たとえ覚えていなくてもなんとなく話を合わせるコツをつかみましたが。

また、先ほども申しましたが、この仕事は意外にも力の要る作業が必要なため、
いろんなことを頼まれます。それはそれで、自分の男性的な体力を誇示する機会
として不愉快ではないのですが、何でこんなことまでさせられんねん?と思うこともあります。
私の会社では、各フライトに必要な文書類の入ったかばん持ちは、ジュニアの
男性クルーが手伝うもの、という暗黙の了解があります。

これは古くからの伝統のようで、みんな男性クルーが手伝って当たり前、
と思っているようです。また、男性クルーの方も疑問をさしはさむことなく
自らそれをオファーしたりします。
それはそれで、仲間関係を潤滑にすることができていいと思うのですが、
やはりその根底には性差別的な考え方があるようで、釈然としないものを
感じることがあります。もしかしたら、男女平等の考え方が進んでいる(と思われる)
欧米系の航空会社ではあまりこういうことはないのかもしれませんが、どうなのでしょう? 

アジアの方が、性差に関してはより保守的な見方をするのかもしれません。
あと、男性の上司も少数派ながらいますが、なぜか異常なほど細かいことを
気にする人が少なくないように思われます。もともとそういう性格の人が
この仕事についたのか、あるいはこの仕事を長く経験するうちにそうなって
しまったのかはわかりませんが。自分もこの仕事を続けていくと
そうなってしまうのかな?と少し不安にも感じます。

以上のようなことは、同じ会社の他の男性クルーがどう考えているか、
非常に関心があります。また、違う会社に勤めていらっしゃる男性の中にも、
それぞれ違う考え方をもっていらっしゃる方もいることでしょう。
会社によっては、男性の比率の方が高いところもあるそうですし。
ぜひ機会があれば、みなさんのご意見もお聞きしたいところであります。
 


 


 

第118話クルーと転職 -  7 Aug .2003-


外資系航空会社のクルーになる人は、
何か前職を経験していて転職される方が多いと聞きます。
もちろん、会社によってポリシーは違うでしょうが、
外資系の多くは海外ベースであり、海外生活を送る上で
有利な多種多様の経験、独立心、より成熟した
人間性を求められているのかもしれません。

しかし、私が今回お話ししたいのは、クルーの世界に
入ってくる転職のことではありません。逆に出ていく転職のことです。
クルーの仕事にあこがれていて、これからクルーになりたいと
思っていらっしゃる方にとっては、なんともったいないことをするのだろう、
と思われるでしょう。しかし、結婚や家族の事情など、やむをえない
理由で退職・転職される方だけでなく、自ら進んで辞められる
方も少なからずいらっしゃるのです。

まず一つには、同じ業界内での転職。
これは、労働条件の差が原因であることが多いようです。
つまり、同じクルーの仕事でもより飛行時間が短く、給料が高く、
定年年齢が高く、あるいは福利厚生などが充実している会社が
転職先として選ばれます。 ちなみに、私の会社ではそうして
転職して来る人よりも出ていく人の方が多いようですが.…。

また、航空業界は辞めたくないけど、クルーの仕事は肉体的にもきついし、
しょっちゅう家を空けるのはちょっと…という方は、地上職員の道を
選ばれることもあるようです。
「航空業界と水商売は、一度やったらやめられない」という人がいました。
旅行好きの人にとっては、航空業界で働くメリットには捨てがたい
魅力があることでしょう。水商売のメリットや魅力の方は、
自分には経験がないのでわかりませんが。

しかしそれだけでなく、そのメリットをかなぐり捨ててまで
転職していく方も中にはいます。
まず、ベースとなる海外での生活にどうしても合わず、
日本に帰りたいと思う人。 また、クルーの生活パターンが
どうしても合わず、常に体調の不良を感じているような人。
時差ぼけのきつい人にとっては、確かに約半分は海外の
ホテル暮らしという生活は、きついものがあるのでしょう。
クルーにつきものの腰痛も、ドクターストップがかかるほど
ひどくなる人もいますし。 さらに、サービス業そのものにも
向き不向きがあるらしく、多数の人に接してサービスするのに
疲れていやになってしまった、という人の話も聞いたことがありました。

また、特にどこがいやだとか、何か不都合があるわけでもないのに
この仕事を辞めようと考える人も少なくありません。
どんなに苦労して手に入れたものでも、時間が経つにつれ
ありがたみも薄れ、アラが目立つようになるものです。
あるいは、もっと欲が出て、現状に満足できなくなる、という言いかた
の方が正しいのかもしれません。

今は元気でも、この先何が起こるかわからない、航空業界自体も
厳しくなる一方だし、本当に定年まで続けられるのだろうか、
また無事定年を迎えてもその後はどうしようか、などと考えると不安になって、
より安定した生活を望むようになったりもします。
そうして他にやりたいことが見つかって、この仕事を辞められれば
それに越したことはないでしょうが、でもいざ実際に辞めてしまうと、
絶対に今の生活を惜しむだろうなーと思うと辞めるに辞められず、
結局いつまでもずるずると続けて、もはややり直しのききにくい年齢に達して…
と書くと、まるで自分自身のことのようで気が滅入ってきました(大汗)。

これは、労働条件のよい会社に勤めていればあまり考えない
ことなのかも知れませんが、しかしテロや戦争、新種の伝染病など、
航空業界にとって不安材料がいっぱいある今の世の中、
自分の会社そのものも大丈夫なのだろうか、という不安は、
きっとどこのクルーの方でも抱いたことはあるはずです。

…とても鬱が入るようなネガティヴなことばかりダラダラと書いてしまいました。
でも以前に私の同僚と、同じような内容を実際に話しあったこともありますので、
きっと私だけがこう考えているわけではないと思われますが…
また、航空業界に限らず、きっとどの職業に就いていてもありえることなのでしょう。
どのような仕事であっても、100%迷いなく「天職」と呼べる仕事を見つけられた人を
うらやましく思います。
私は、自分にとって何が「天職」なのかを見極めるには、
まだまだ時間がかかりそうな気がします。



 


 

第119話クルーの常識は世間の非常識? -  12 Aug .2003-


前回、外資系航空会社のクルーには転職者が
多いと書きましたが、私もその一人です。
私の担当最終回となる今回は、航空業界に入った当初、
それまで自分が見知っていた日本の「普通」の生活と
こんなに違う、と感じたことを挙げて見たいと思います。


1.クルーには曜日の感覚がない?

クルーに関して非常によく言われるのがこれだと思います。
今の仕事につく前は、自分も月曜日から金曜日まで働いて週末休み、
という生活パターンでしたが、クルーの仕事は日曜も盆も正月も
一切関係ないため、曜日の感覚がだんだんとなくなってきます。
また、私は入社以来海外ベースですごしていますが、
6年以上も経つのに恥ずかしながらそこの祝日をほとんど知りません。
フライトに行って非常に込み合っている様子を見て、
「ああ、今日から連休だったのか」と思い出すような状態です。

2.クルーには衣替えがない?

昔、日本にいた頃は、夏と冬の季節の変わり目に、
クロゼットの洋服を入れ替えて、前の季節のものは奥深くに
仕舞い込んだりしたものでした。
しかし、クルーになってからは、しばしば南半球に行くこともあったり、
また冬に熱帯地方に行くこともあったりするので、年中すべての
季節に対応できるようにしておかないといけません。
かくして、私の家のクロゼットは、常にいろんな洋服でいっぱいで、
整理できなくなりました。

3.クルーの話には現実感がない?

「○○さん久しぶり〜、どこ行くの?」
「ローマなんです。トシさんは?」
「ええなー、俺なんてLAやで。先月スタンバイで呼ばれて行ったばっかりやのに」
「いいじゃないですかー。トシさんいっつもパリばかり行ってるんだから…」

と、クルーの間ではよくこんな会話がなされます。
みんな何も意識せず、ごく当たり前のように世界各地の地名を
セリフの中にちりばめていますが、これってよくよく考えたら
とても豪勢な会話に聞こえませんか? 
自分は、少なくとも最初、乗務が始まる前に聞いたときはそう思いました。
日本にいる友達との会話でも、パリでバーゲンに行って〜、ケアンズで日焼けして〜、
バンクーバーでスシ食って〜、などとしゃべっていたら、
「なんか話の内容に全然現実感がないなあ」と言われました。

4.日常の出費が少ない割にお金がたまらない?

クルーは乗務中、食事が支給される(機内食と同じものですが)ので、
食事にかける出費が少ないはずです。また、生活の半分はベース以外
でのホテル暮らしのため、光熱費・水道代などが普通の生活をしている人の
半分ぐらいだと思います。

自分も一人暮しをしていますが、エアコンを使う夏はさておき、
冬の2ヵ月間で電気代が1000円程度だったことがありました。
また、私の会社では、乗務先でもらえる手当ては税金の課税対象外であるため、
地上で働いている人たちより納税額が少ないというメリットもあります。
が、しかし、なぜか貯金のあまりない人が多いのです。
もちろん個人差はあると思いますますし、もしかしたら自分の周囲に
そういう人がかたまっているだけなのかもしれませんが、かくいう私自身、
もちろん所得の違いはあるにせよ、日本で勤めていた頃の方がよっぽど貯金できたのです。

この理由は、やはりクルーには自由になる時間が多すぎるからではないかと思います。
また、なまじっかあちこち行けるために、どこであれを買って、あそこでそれを買って、
という風にかえって出費が多くなってしまうのではないでしょうか。
何か、クルーの人生というものはとても刹那的なものだという気がします。

5.クルーの生活は芸能人みたい?

前節でも述べましたが、クルーには自由になる時間が多いのです。
航空業界の競争が激しくなるにつれ、私達のフライトパターンもきつくなり、
乗務先での滞在日数やベース地での休日も減らされる一方ですが、
それでも日本のサラリーマン・OLに比べると格段と労働時間が少ないのです
(注:空の上の安全を確保するため、乗務員の労働時間には上限が定められています)。

ですから、昼間でも家でゴロゴロしたり、空いている時間帯に
買い物に出かけたりできます。 自分のとある同僚は、
「平日の昼間っからカラオケ行ったりして、まるで芸能人の生活みたい」
と言っておりました。
むしろ芸能人というより無職の人みたいって感じですが。

6.クルーの生活は夜型?

私の会社のフライトは圧倒的に午後発、深夜発のものが多く、
早朝便は月に2,3回しか入らないことがあります。
また、前節でも述べたように、休みの日が多いので、
その間に就寝時間が後ろへ後ろへとずれ、御昼頃まで寝てしまう、
ということになります。

たまに朝6時や7時に起きないと行けないようなフライトが入ると、
みんなそれに備えて前夜は早く床につくのですが、緊張して
かえって眠れないという経験をします。
かくして、早朝便のブリーフィングはみんなボーっとしたものになりがちです。
また、年に1回あるエマージェンシー・トレーニングは、普通のオフィスアワー
の時間に行われるため、やはり異例の早起きを数日続けなければなりません。

さらに、ずーっとおとなしく椅子に座って話を聞くという習慣がクルーにはないため、
非常に苦痛に感じられます。「ああ、自分ももはやオフィスワークに向かない
体になったか…」と実感するのはそんな時です。


…以上、自分の思いつくクルーの生活の特殊な点を挙げて見ました。
私が今回担当させていただくエッセイは、これが最後です。
みなさん、今までお付き合いいただき、どうもありがとうございました。



essay@crew-jp.com

 

 

 

 



saipan
( Photo by (c)Chiaki )
 





第120話から第124話までの担当者紹介!


皆さん、こんにちは。
某外資系スチュワードとして乗務し始めもう直ぐ丸4年になります
ペンネーム現役外資系FAです。今回で何度目の再登番か忘れてしまいましたが、
頑張ってエッセイを書きますのでどうぞよろしくお願いします。

 


 

第120話赤道に想いを込めて-  21 Aug .2003-


もう直ぐ乗務を始めて4年になるのですが、
この仕事をしていて実感する事に様々なお客様が
それぞれに色々な思いを持って飛行機を利用
されるのだと言う事があります。

ピカピカの結婚指輪をそれぞれが指にはめ、
二人仲良く手をつないで機内にやってくるハネムーンカップル。
「彼らは今が幸せの絶頂なのかなあ?」
お互い照れくさくて手はつないでいなくても嬉しそうな
笑顔でやってこられるフルムーンカップルも楽しそうです。

我が子が留学している地を初めて訪問する両親は
何故か機内でソワソワしていたり、仲の良い社会人の娘と
その母親の二人旅はお互いにとって最も気を使わなくて
良い相手なのでとても気楽そう。

遠距離恋愛中のカップルの1人は何とかお休みのやりくり
をして数千マイル先に待っているパートナーに逢いに行く。
旅なれた出張族のビジネスマンはノートパソコンでせっせとお仕事。
他にも様々な目的を胸に秘め、お客様達は飛行機を利用されます。

さて、今回はそんな様々なお客様と接して来た中で
特に印象に残ったお客様をお1人紹介させて頂きます。
その客様は私が担当した成田発の国際線で
南半球に向かう便に搭乗されました。
飛行機が出発しておよそ3時間後、グアム島やサイパン島等の
ミクロネシアの辺りを飛行していた時に私はその中年と思しき
日本人女性にコールボタンで呼ばれました。

彼女は私に赤道を通過する時間を教えて欲しいと言いました。
よく赤道や日付変更線を通過するフライトだと、その時間を教えて
欲しいとお客様にリクエストされる事が有ります。
大抵お客様は日記や旅行記を書いているので
その情報を知りたいそうで、ナイトライトだと真っ暗で
星ぐらいしか見えませんが、わざわざ窓の日よけを開けて
写真を撮る人もおられます。

しかしながら、今回の女性はそのような理由ではありませんでした。
彼女の様子から赤道に対して何か特別な思いがあるようでした。
私は内線でコックピットに連絡をして正確な時間を知らせてもらいました。
そして、そのことを彼女に伝えると彼女は私にお礼を言い、
なぜ赤道通過の時間を知りたかったかを話してくれました。

その理由は彼女の父親が第二次世界大戦の際、
赤道付近で亡くなられたそうです。
だから、彼女はその父の為にお祈りをしたかったので、
それが実現出来てとても嬉しかったと語ってくれました。
「私の母親は高齢の為、今回同行しておりませんが
その母親の分も心に込めて深いお祈りをささげる事が出来ました。
本当にありがとうございます。
機長様はじめ乗務員の皆様に心より感謝を致します。」

私はこの事を後で同乗した乗務員に伝えました。
皆、良い仕事が出来たと誇りに思いました。


 

 

第121話3週間の病欠-  28 Aug .2003-


私は今年は初めて病欠をしました。
私は運が良く体が丈夫なので高校、専門学校と続けて
皆勤賞を頂き、社会人になってからも病欠は一度も有りませんでした。
そんな私だったのでFAの仕事を始めてからも3年半、一度も休まず
頑張って来たのですが3月初めに左手手首を傷めてしまい
連続皆勤記録がスットップしてしまいました。

理由はオフの日にバレーボールの試合に出場して、
その際無理な姿勢で倒れたしまったからです。
私の全体重がかかってしまった左手首は腫れ上がり
直ぐに病院でレントゲンを撮りました。

結果は亀裂骨折(びび)の可能性あり。
10日後に再度レントゲンを撮るとの事でした。
そんなわけで私の左手はひじまでしっかりとギブスを巻かれ、
三角巾でつるしたまま自宅へ帰りました。
本来なら次の日の午前中のフライトに乗務するはずでしたが、
サービスの面でも機内安全の面でも十分な仕事が出来ない
のは明らかで替わりにスタンバイのFAが私の乗務をこのなしました。

その後10日間は自宅で安静、最初の3日間は左手の握力が
落ちてしまった為ボールペンぐらいしか持てませんでした。
実際のフライトとなるとコーヒー、紅茶の入ったジャグ(容器)や
ワインボトルを片手で持てないと話になりません。
「普段の生活するのすらままならないのに乗務を出来る
のは何時になるのだろう?」そんな思いを胸に毎日本を読んだり
ネットサーフィンをして時間を過ごしていました。

10日後、ギブスをはずして再びレントゲン。
結果は亀裂骨折の疑いは無し。骨に異常がない為、
ギブスや包帯はしなくて良い事になりました。。「ああ、良かった。」
一応、会社の方には診断書を添えて最低でも3週間のお休みが
必要がある事を伝えていたので仕事の方は心配しなくて良かったのですが、
この仕事はいわるゆ"飛んでナンボ”の世界。
フライトしなければ残業代も乗務手当ももらえないので
早く復帰したかったのでその日からフィジオセラピーに毎日通いました。

毎日約30分、温めたり、マッサージしたり、超音波を当てたりしてもらい、
更に自宅でもお風呂の中で簡単なリハビリをしました。
食事の方も気をつかりサプリメントでカルシウムや
骨や関節に効く物を飲みました。
又、普段より睡眠を2時間ぐらい多く取り、お昼寝もしました。

それらの努力が効をきしたのか、私の怪我の状態は
日に日に良くなり希望どうり3週間で仕事に復帰出来ました。
当たり前の事ですがどんな仕事も健康でなければ続けて行けません。
私が言うのもなんですが、皆さんも怪我には十分にご注意下さい。

 


 

第122話クルーレスト-  4 Sep .2003-


私の会社ではFAが長距離フライトの際、交代で休憩をする場所を
「クルーレスト」 と呼んでいます。 このクルーレストですが各社それぞれ
多少の違いが有ると思いますが、今回は私の会社の
主要機材
ボーイング747-400と767-300について書きたいと思います。
 

初めに747-400、通称ジャンボについてですが、この飛行機は400席前後客席が有り、
操縦室は2階席の先端にあります。 当社の場合、エコノミー席の一番後ろ、
飛行機の尾翼の下の部分にトイレが6つ設置されているのですが、クルーレストはこの
トイレの上にあります。 トイレの脇にある 「Crew−Rest」 と書かれた秘密の扉を開き
らせん階段を登った先には2段ベットが4つ、合計8人分の簡易ベットが用意されています。

ここで私達FAは2-4時間程度の仮眠をとります。
又、2階席に上がる階段の反対側で機内ビデオスクリーンの後ろに
カーテンで仕切った個室があり、通常はここで機内エンターテーメントを操作するのですが、
ここにはエコノミークラスの座席が2席用意されているのでこちらで休憩をするFAもいます。


一方、パイロットのクルーレストはコックピットの直ぐ後ろに1人用のベットが
備え付けれれている個室がありそこで仮眠をします。 又、クルーレストの脇には
ビジネスクラス用の座席が2席用意されており、そこで食事をしたり新聞や雑誌を読んだりしています。


次に767-300の場合ですが、こちらの場合機材が小さい為747程充実していません。
FA用のクルーレストはエコノミークラスの前方に囲いに囲まれたスぺースが有り
そこに4席のエコノミークラスの座席でビジネスクラス並にリクライニングする座席が用意されています。
又、パイロット用のクルーレストもエコノミークラスの前方に有り180度倒れる座席が一席用意されています。


 


 

第123話 「航空迷惑法の成立-  11 Sep .2003-


航空機内での喫煙や客室乗務員への暴力、セクハラといった
「機内迷惑行為」の防止をめざしたこ航空法の改正案が
7月11日に参議院本会議で可決され、成立しました。
施行は来年の1月の予定で機長の命令に従わない迷惑行為者には
50万円以下の罰金が科せられる。(朝日新聞より)

航空法で「安全阻害行為」とみなされる航空機内の主な迷惑例
(国土交通省航空局による)

 ・ トイレでの喫煙 
 ・ 扉を勝手に操作 
 ・ 客室乗務員の保安業務に影響が出るようなセクハラや暴力 
 ・ 携帯電話など電子機器の使用 
 ・ 離着陸時にシートベルトをしない 
 ・ 手荷物を通路に放置 
 ・ 離着陸時に座席やテーブルを倒す 
 ・ 救命胴衣など機内装備を勝手に移動

このように書くと電車やバスにはこんなにたくさん規則はないはずなのに
飛行機はなぜそんなにうるさいのかと思われる人もたくさんいると思います。
しかし私達FAは皆様の安全確保の為には妥協は許されません。
今回は機内での禁煙と携帯電話の使用禁止について私見を書いてみたいと思います。

タバコが吸いたいのに吸えなくて不便だと思われる愛煙家の
皆様のお気持ちは理解できますが、機内のような狭くて人が密集
した場所で火災が起こった場合を想像してみて下さい。
人々はパニックを起こし我先にと出口を目指して脱出を試みますが
空の上ではパラシュートでもしてない限り脱出出来ません。

それに煙が充満すれば視界が奪われ思うように動けませんし、
酸欠状態や一酸化炭素中毒で命を落とす可能性は高いです。
更に換気しようと思って急にドアを開ければ気圧の違いで体ごと
外に吹き飛ばされてしまうと思います。
確かにマナーを守って吸えば周りにも迷惑はかからない、
以前は喫煙席もあったはず、機内には消火器具もあるんだから
そんなに心配するはずはないと思われる人もいるかも知れませんが
事故が起きてしまってからでは取り返しがつきません。
愛煙家の利用者の皆様にはご不便をきたしますが
機内での喫煙は絶対にしないで下さい。

次に携帯電話の使用に関してですが、携帯電話は最寄の
基地を探して電波を発する為、自動車や電車など移動体
の中で使用すると強力な電波を発します。
ご存知のように飛行機は物凄く早いスピードで移動しているので
その分発信電波は強くなります。 この強い電波が航空機内の
操縦室における計器類などの誤作動を引きを越します。

携帯電話は病院でも医療器具の誤作動を引き起こす為、
使用できない事は皆さんご存知の事と思いますが、飛行機も同じです。
更に操縦室と管制塔との通信に障害を与えたり混乱を巻き起こす事で
飛行機同士の異常接近や最悪衝突などの危険性も出てくるのです。
携帯電話を機内にお持込の際は必ず電源をお切り下さい。

最後に2001年9月11日の米国同時多発テロ事件から今日で
丸2年になりますが、犠牲者の皆様のご冥福を心よりお祈りいたします。
又、客室乗務員の1人として航空機を使ったあのような悲劇が
繰り返される事がないようしっかりと乗務をして行きたいと思います。

 



 

第124話 「ちょっとした"こだわりGOODS"」-  18 Sep .2003-


今回は私が機内で愛用していますGoodsをご紹介します。

先ず、私がとても気に入っているのが静電気よけのゴムバンド、
手首にするリストバンドみたいなものです。 これは日本で手に入れました。
冬になるとスーパーや100円ショップで手に入ります。
皆さんご存知の通り機内はとても乾燥している為静電気が発生
しますので、機内を仕事場とする私としてはとても助かっています。
私の感覚ではこのゴムバンドをしていても多少の静電気を感じますが
していないのとでは大違いです。

次のこだわりGoodsは耳栓。
大抵のFAはレストの際に耳栓をして横になります。
機内でもらえる耳栓でも一応用は足しますが、レスト中にシッカリと熟睡する
事は私たちFAにとって大切な事なので私は耳栓にもこだわりがあります。
私が使用している耳栓はトラベルグッズの専門コーナーで400円でしたが、
これが耳にとっても良くフィットしてとても快適なんです。

硬いスポンジの耳栓だと取れてしまったりするのですが、
この耳栓は特殊な素材を使っており耳の中に入るとシッカリと納まり
取れる心配は無用です。
耳栓をしていてもエンジンの音は聞こえますが他の耳栓より
音が小さくて快適です。そんなわけでこの耳栓を使用していると
レストでシッカリ熟睡出来ます。

3つ目のこだわりGoodsは入浴剤です。
バスクリン、バスロマン、温泉の素等入浴剤の種類は
色々ありますが、私はゆずの成分や薬草の成分等が入っている
物がお気に入りです。外人のFAは入浴せずにシャワーで済ませている
人もいますが私は30分から長い時で1時間ぐらい入浴をします。

お気に入りの入浴剤は乗務で乾燥した肌に潤いを与え、
時差や気温差、その他ハードなフライトで疲れた体を温め
疲労回復を早めてくれます。


今回紹介したGoodsは3つだけですが機内持ち込み用の
キャリーバックやギャレーで使用するものをつめたギャリーバックと
その中身等にも愛着やこだわりがあります。
色々試してみてこれが一番使い易いと言うものを見つけるのも結構楽しいですよ。

今回はエッセイを5回分担当しましたが、皆さん楽しんで頂けましたでしょうか?
感想文はいつでも歓迎なので是非ドシドシ送って下さい。
それではごきげんよう。




essay@crew-jp.com

 


 

 



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==  お知らせ ==

[週刊 essay] では、来年度の執筆者を大募集しています。
客室乗務員、空港スタッフに限らず、予約スタッフや営業さんなど
航空業界へ関わりのある現役/OG/OBの方々のエッセイを
掲載しておりますので、書いてみよう!と思われる方は
お気軽にメールでお知らせください。 →→ 
essay@crew-jp.com





第125話から第128話までの担当者紹介!


みなさん、はじめまして!
外資系航空会社でCAをしております、「PANDA」です。
受験中にお世話になった、このクルーネットへの恩返しができるような、
志望者の方に役立つエッセイを書きたいと意気込んでいます!
どうぞよろしくお願いします。

 


 

第125話CA受験奮闘記-  25 Sep .2003-


私は、アジア系の航空会社に新卒で入社しました。
しかし、今の会社に決まったのは、卒業間際の3月。

就職活動中の一年間は、人生で初めて味わった挫折と苦悩の日々でした…。
(ちょっと大げさかな…)
 
私がCAになりたい!と強く思うようになったのは、
就職活動を始めてからだった気がします。
それまでは、何となく漠然と「人と接する仕事」が面白そうだなぁと思ったり、
その頃から旅行が大好きだったので、「タダであちこち行ける!いいじゃん!」
なんて軽く考えていた程度です。
一つ年上の仲良しの友だちがSQに入社したことや、
大学の友だちがCAを目指していることに影響されて、
だんだんCAという仕事に興味を持つようになりました。
 
その年は、「国内当たり年」といわれ、大手3社(JALとJASが
合併する前です)に加え、ほとんど全ての国内の航空会社が
募集を出したんじゃないのか、というぐらい募集があったのです。
初めてのCA受験である、国内大手の航空会社は、トントン拍子に進み、
また別の会社も最終まで残り、両方受かっちゃったらどうしよう!?
なーんて思っていたのもつかの間・・・
両社からとも、最終合格の連絡がくることはありませんでした。
 
「どうして!?何がだめだったの?」
考えられる全ての原因を考えましたが、すぐには納得できませんでした。
きっと、「私ならいける!」という変な自信を持ってしまっていたのでしょうね。
試験会場で知り合った他の受験生から、「合格したよー」という報告が来るたび、
胸が苦しくなりました。
あの頃の私、、、相当ダークなオーラを発していたことでしょう。
 
3番目に受けたJ社は、これまでの失敗を振り返って、入念に準備を重ねました。
実はこのJ社、私の希望に合わない部分があったので、募集を見送ろうかと
悩んでいた会社だったのです。
しかし、その頃の私は、前出の2社に落ちてやけになっていたのか、
「CAになれればどこでもいい」というような状態になっていました。
努力の甲斐あって、ここも最終試験まで進み、あとは結果を待つのみ、の状態。
このとき、同じ大学のYちゃんも同じく最終試験まで進んでいたので、
「一緒にJ社で働けたらいいね〜〜〜」なんてお互い励ましあっていたのですが、
結果は・・・・・Yちゃんは無事合格、そして、私にはまた連絡が来なかったのです。
 
どうして、こういう時、友だちの合格を素直に喜べないのでしょう。
どうやったら自然に「おめでとう」って言えるんだろう?
と、悩んだのを覚えています。
 
その後も懲りない私は募集がある限り、受験し続けました。
それでも、やっぱり合格できないのです。
友人達からは、「どっか身体に問題があるんじゃないの?」といわれ、
家族にも「いい加減あきらめたら?」と言われる始末。
自分に自信が持てなくなって、書類さえ通らない会社もありました。
 
沖縄の航空会社の面接を受けに行った時のこと。
沖縄にいる時に、クルーネットからの募集情報が携帯電話の
メールに送られてきたのです。
それは、私が今働いてる会社のCA募集のお知らせだったのですが、
そのとき、何故か「今度こそ!ここだぁ〜〜〜!!!」とピンと来たのです。
それから、トン・トン・トンと進み、最終的な合格の連絡をもらったあの瞬間は、
今でもよく覚えています。
 
ありがちな言葉ですが、多くの人の支えがあったから、今の私がいます。
何度だめでも、また挑戦すればいいじゃん、と背中を押してくれた人がいたから、
諦めることなく、希望の仕事に就くことができました。
「合格したよ!」と報告したら、「本当におめでとう」と泣き出した友だちもいました。
今でも、周りの人たちへ、感謝の気持ちでいっぱいです☆
 
・・・・こうやって書いてみると、どこが挫折と苦悩の日々!?
と、自分でもツッコミをいれたくなりますが、
その当時、本人にとっては大変だったのです…
 
現在受験中のみなさん、
夢は強く望めば望むほど叶うそうです。
私は身をもってそれを実感しました。
そして、ご縁ってどこかに必ずあるんですね。
どうか諦めずに夢を実現して欲しいと願っています。

 


 

第126話身長について-  2 Oct .2003-


クルーネットをみていると、身長のことを
気にされている方が多いように思います。
そもそも、身長制限って、どうしてあるのでしょう。

私が勤めている会社では、募集要項で、
身長が160センチ以上となっています。
実際に入ってみると、平均身長はもっと高いように感じます。
わが社の採用担当者が、背の高い人が好きだということも
考えられますが、そんな中でも、ひときわ小さくて目立っている(?)
私の同期のことをお話したいと思います。

彼女Sちゃんは、身長158センチ。
普通に日本で生活している分には、平均ぐらいの身長でしょう。
Sちゃんは、体型も細身で、華奢なので、
実際の身長よりも小さく見える気がします。
しかし、どうやって、高身長クルーの多い会社の
採用試験を乗り越えてきたのでしょうか?

まず、第一に考えられるのが、Sちゃんのパーソナリティと国際性。
Sちゃんは、初対面の人とも、コミュニケーションを上手くとって、
誰とでもすぐに仲良くなれる才能があります。
彼女なら、日本人のお客様だけでなく、どんなお客様にも
愛されるだろうと、すぐに想像できます。

いつもにこにこしていて、それが作り笑顔ではなく、とってもキュート。
どんな状況にいても、自分で自分を楽しませることを忘れず、
嫌なことがあっても、一晩ぐっすり寝たらころっと忘れているような、
本当にイイ性格をしています。
彼氏と喧嘩をしても、Sちゃんの彼は、「もう寝ねよ〜。(そしたら怒りも
冷めるだろー)」なんて言うそう。(笑)

それから、高い言語能力。
長期の留学をしていたわけでもないのに、Sちゃんは、とても英語が上手です。
英語だけでなく、会社の母国語もたった1年ぐらいで見事に自分のものにしています。
(私はいまだ、苦戦しているのに!)
耳が良いのか、見事な言語能力です。

ですから、Sちゃんのケースを考えると、会社が本当に
欲しい人材であれば、何とかなる場合も実際にあります。
面接をパスした後の身体測定では、看護士さんが、2センチ
おまけをしてくれたそう^^
ありえない・・・!?

では、実際の乗務ではどうなのか。
Sちゃん曰く、「働いてみて、どうして身長が必要かわかった」そう。
みなさんもご存知、ジャンボ機・ボーイング747には、天井に物を
収納できるスペースがあります。
わが社では、そこにティッシュペーパーや、カップなどを収納しているのですが、
フライト中に、足りなくなったとき、その天井の物いれを空けなくてはいけません。
それがまた高い位置にあって重いのです。
身長174センチの私でさえも、
「これ開け閉めするのしんどいなぁ」と感じるほどです。
Sちゃんは、いつもジャンプをして開け閉めしているそうですが・・・。

また、全席にテレビモニターつきのボーイング777。
このB777の手荷物を収納する上の棚は、他の飛行機よりも
高い位置に作られていて、長身で、おまけに手も長い(!)私も、
背伸びをして、開け閉めしています。
Sちゃんは、一回一回ステップに足をかけているそうで、
時間がないときは困るそう。
無理をして腰に負担がかかるのではないか、とも気になりますよね。

とある航空会社では、ローカルクルーの平均身長が高く、
それに合わせて、日本人クルーも背の高い人を採用していると
聞いたことがあります。
それは、ローカルクルーが使いやすい高い位置に、
よく使うコンパートメントを設置してあるからだそうです。
このように聞くと、何故身長制限があるのか、納得できますよね。

もちろん、会社によっても何センチ以上か規定は違いますし、
使う飛行機の種類によっても、内装が変わってきますので、
身長に不安のある方は、志望する会社の身長制限と、
使用機材を一度調べてみてはいかがでしょうか。

逆に私の場合、国内系の会社を受験し、落ち続けた時には、
母に、「あなたは、日本の会社では、デカすぎるのよ」なんて
いわれて悩んだものでした。
今の会社でも、毎日毎日「大きいね〜身長何センチ?」なんて言われてますが、
これも私の個性。私の名前をきいたローカルクルーが、
「ああ、背の高いあの子ね。」なんて、覚えてもらえるとうれしくなります。

背が高いことは、良いことだと思われる方もいるかと思いますが、
デメリットもあります。 それは、「ミールを配っている時」。
カートの下のほうから、ミールを出しているとき、中腰の姿勢になる
ことが多いので、そんな時、腰がだるくなります。
身体が資本のお仕事なので、健康管理はしっかりしないといけないですね。
 

 


 

第127話心の拠り所-  9 Oct .2003-


就職活動中の自分を振り返ると、
精神的にとても切羽詰まっていたと思います。

「この先、自分はどうなるの?」 
「CAが本当にやりたい仕事なの?」
「また次の会社落ちたらどうしよう」 
「卒業まであと何ヶ月なのにまだ決まらない」

などのことを考えていて、毎日悩みは尽きませんでした。
私がくよくよしやすい性格というのもあるのですが、
誰でも就職活動には、少なからず不安はつきものですよね!?
それで今回は、私が当時お世話になった精神安定グッズをご紹介します。


1.京都の『鈴虫寺』の幸福御守

既にご存知の方も多いと思いますが、ここの御守は本当に効きます!
わらじを履いたお地蔵様が、願いをかなえに家まで来てくださるらしいです。
私は、面接の時、いつもスーツのポケットにこの御守を入れて
気合いを入れていました。
願掛けに、興味のある方はいってみてください。

.倉木麻衣の『always』

この曲は、同じようにCAを目指していた友人に教えてもらったもので、
歌詞がとってもよくて、前向きな気持ちになれます。
落ち込んだ時に、よく聴いていました。
特に、

夢じゃない!?諦めず
そうじゃない!?最後まで
だれでも初めは気付かないけど
必ず辿り着く
君の心の中に希望があるから
苦しい時こそ願いは叶う

という、上記の歌詞に励まされていました。
この曲は、今でもたまに聴いて、初心を思い出しています。

3.中村佐恵美さんの本

『ハリウッド女優になったOL奮闘記』と『そして輝いて!』
夢に向かう前向きな姿勢に、ガッツを分けてもらっていました。
自分の魅力を最大限に引き出すアピール術や、やりたいことに
向かって走るひたむきな姿は、すごいの一言です。
CA受験に限らず、夢に向かって頑張っている人に読んで欲しい2冊です。

4.ひらやまれいこさんのエッセイ集

手書きの文と絵がのっていて、柔らかい印象の本なのですが、
内容は、心の奥に訴えかけてくるようなエッセイです。

「リングに立ったら正面向いて戦う 終わらない試合なんてないんだから」
「自己卑下してるときは心にいいわけして やるべきことをやっていないとき」
「傷つくのを恐れて何もしないとするでしょ。でも…。100年後にはちゃんと
年とって死ぬんだよね」
「大した努力もしてないのに 結果ばかりを求めてしまう …はずかしいね」

他にも、そうそう、と納得したり、考えさせられる言葉がたくさん詰まった本です。
興味を持たれた方は、チェックしてみてくださいね。

発行:真魚(MAO)ライフデザイン研究所 052-889-0783

5.佐藤綾子さんの自己啓発本

自分を他人にどう印象づけるか、など面接だけでなく、
日常生活の対人面でも役立ちそうなことが書かれています。
私は、嫌なことがあって落ち込んでいたり、悩みがあるときに
この人の本を読むと、必ず解決の糸口が見つかります。
日経WOMANにもエッセイがのっているのでご覧になってみてください。


この仕事を始めてから、メンタルケアに興味を持つようになりました。
自分が精神的に良い状態だと、それが仕事にもとても影響するのです。
また、好きで始めた仕事とはいえ、当然ストレスも感じるので、
最近ヨガを始めたり、アロマテラピーにこったりして自分なりの
ストレス解決法を模索しています。 どっちも、これまたオススメ!

みなさんも、お気に入りの本やリラックス法などがあったら教えてくださいね。
 

 


 

第128話この仕事に就けてよかった-  16 Oct .2003-


私は今、とても幸せで充実した毎日を送っています。
仕事では、まだまだ半人前で苦労も多いですが、
どんなに嫌なことがあっても、やりたいことが
やれている今に感謝しています。

今回のエッセイを書くことが決まった頃、
実は、仕事に対して少し気持ちがだれてきてしまっていました。
いざエッセイを書こうと思っても、思いつくのはこの仕事の不満ばかりで…。
でも、よく考えると、学生の頃にしたいと思っていたことが、
CAになったことによって全て実現しています。

 @ 人と接する仕事で、
 A 出来れば国際的で、
 B やりがいがあって、
 C 世界中旅行にもいってみたいし、
 D 親元を離れて一人暮らしもしてみたいし、
    新しいことにどんどん挑戦したい!

というような学生の頃の希望は全て叶えられたのです。
CAは、もちろん@の人と接する仕事ですし、私の勤めている会社は、
日本以外にも乗務することがあるので、一度日本を出発すると、
一週間日本語を話さない生活を送ったりと、
Aの国際的な仕事です。
先週乗務したアメリカ線では、日本人・アメリカ人・中国人・インド人
韓国人・フィリピン人などのお客様がいて、国籍も宗教も何もかも違う人たちが、
同じ空間で10時間以上も過ごして、そんな多種多様な人たちと
一度に接することができるこの仕事って面白いなぁ〜と改めて感じました。

Bのやりがいは、やっぱりお客様から
お褒めの言葉を貰った時に一番感じます。
ロングフライトで眠さと疲労でぐったりしていても、
「ありがとう」や、「お疲れ様」、「いいサービスだった」
など言ってもらえると、「よっしゃー。次も頑張るぞー!」
と素直に思います。

Cの世界中を旅したいという願望も叶えられつつあります。
ご存知の方も多いと思いますが、航空会社の社員は
とても安く航空券を買うことができるので、
オフと少しのお金があれば気軽に旅行できます。
このエッセイを書いている今日は、沖縄へダイビング
をして帰ってきたばかりです。 世界遺産を観て感動したり、
海や山の自然に触れたり、 そんな経験が気軽に出来るのは、
とても贅沢なことで、クルーの特権ですよね。

Dベース地の関係で一人暮らしを始めて、
新たな楽しみを沢山発見しました。
実家にいた頃は、恥ずかしながら、
家事はほとんどしたことがなかったのですが、
一人だと、自分がやらないと誰もやってくれない状況。
身体に良くておいしいものが食べたくて料理を始めたら、
意外と面白くて、仕事中に「次のオフは何作ろう?」なんて
考える時間がまた楽しいです。

最初は寂しかった一人の時間も、慣れれば、
「誰にも邪魔されない自由な時間」になり、
お気に入りの紅茶を、お気に入りのカップで、
読みたかった本を読みながら一人アフタヌーンティをしたり、
いい香りの入浴剤を入れたお風呂にゆっくり浸かりながら
好きな音楽をきいてリラックスしたり…。
一人暮らしだからこそ持てる、一人の時間が
自分を元気にしてくれます。

このCAという仕事は、他では味わえないことを
経験できる仕事だと思います。体力的な問題や、
女性の場合、結婚・出産などで、一生できるわけでは
ないかもしれません。 それでも、やりたいと思ったり、
興味があるのなら、絶対に一度はやるべきだと断言します!
受験者の方は、どんなに回り道をしても、上手くいかない
時が続いても、諦めないで欲しいです。
苦しい思いをすればするほど、願いが叶った
ときの達成感は大きいはずです。

最近は、旅行やオフのプランで頭の中がいっぱいいっぱいですが、(笑)
本来の動機である、「日本のお客様に、外資系の航空会社
に乗ったからといって不自由な思いをさせたくない、
快適に過ごしてもらいたい」という気持ちを忘れずに、
次のフライトも頑張っていこうと思います。

最後に、エッセイを書く機会を与えて下さった
クルーネットスタッフの方々へ。
初心を忘れかけていましたが、エッセイを書くことによって
自分を振り返ることができ、とても感謝しています。

そして、私のつたない文章に4回に渡り、
お付き合いくださり、みなさんありがとうございました。
日々自分磨きをしながら、楽しい人生を送りましょう!


『 いろいろな経験をして、またさまざまな人達との
  触れ合いを通じて、私の人生は彩られているけれど、
  行き詰ったときには、自分の生き方を真っ白の
  キャンバスと置き換えて、今度は自分で選んだ色を
  ひとつ落としてみる。

  そしてまた別の色を足したり混ぜたりしながら
  自分の思うままの絵を描いてみるのがよい。
  世の中に受け入れられるようなことばかり気にかけていると、
  つまらない絵しかできあがらないだろうから、
  おしまいには自分に腹を立てることになる。

  自分の気持ちに正直に色を選ぶことは、時に勇気のいることだけれど、
  自分で気に入る絵を描くためには必要なことなのだ。
  自分を好きになることは、自分の好きな色を選んであげること。
  そして、それらの色で自分の人生を色づけてゆくことは、きっと楽しいことに違いない。』

(3話で紹介した中村佐恵美さんの『そして輝いて!』より抜粋:
進路を悩んでいた頃に一番影響を受けた文章なので、みなさんにも紹介しました)




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