= 第60話から第63話までの担当者紹介! =


はじめまして。
今回からエッセイを担当させていただきますサイモンと申します。
現在外資系航空会社で旅客サービスに携わっています。 
どうぞよろしくお願いいたします。


 

第60話 きっかけ -  4 Apr.2002-


誰でもそうであるかと思いますが、
この仕事、というより航空業界で働きたいと
いつの頃か漠然とではあったけれど憧れをもつようになりました。
周囲の環境だったり、子供の頃に見たドラマの影響だったり
いろいろあるのですが、その中でもターニングポイントとなったのは、
高校生のときに授業の一環である航空会社の駐機場を見学したことでした。

海外旅行は勿論ですが、飛行機に乗ったことすら無かった私にとって、
友人と台詞をまねるほど大好きで、再放送されるたびに
はまって見ていたドラマ
「スチュワーデス物語」
(ご存知ですか・・・・20代前半の方はご存知ではないかしら?)
の舞台と同じような光景が目の前に広がり、
ダイナミックで壮大な滑走路の景色と、そこを利発着する
飛行機の姿、悠然と立ち構える飛行機の姿は感動的でした。

フライトを終え、機内の清掃作業も終えて駐機している
飛行機の中に足を踏み
れたときのあの言葉にならない
感動は今でも鮮明に覚えています。
目の前に駐機している飛行機はほんの数時間前まで
400名近い乗客を乗せ、どこかの国から飛んで帰ってきた。
その機内では客室乗務員の方々がどんなサービスをされているのかしら?
お客様はどんな風に機内で過ごしているのかしら?
どんな食事をしたのかしら?機内から見える地上の景色は
どんな風だったのかしら?等、想像が膨れ上がっていき、心躍る気持ちでした。

機内というある意味特殊な空間の中での人と人とのつながりは
とてつもなく魅力的に
映り、当時私にとっては全く未知の世界であった
航空業界というものに一瞬にして惹きつけられていきました。
ついでに、当時ちょっとばかり英語が得意であったと自負していた私は、
ここでは間違いなく英語を使って仕事ができるんだ!
まさに私の為の職場だ!と勝手に思い込んでしまったのも事実です。(笑)
日本だけではなく、様々な国籍の飛行機が行き来し、
その数だけ、それどころかそれ以上の国籍の人々が行き交う
ところは空港や航空会社での仕事のほかになかなか無い!
そう考えたら私の好奇心と興味の引き出しと扉が全開となり
「絶対、絶対航空会社で働こう!!」と決意をしました。

今、私はあの日の決意を実現させ、空港での旅客サービスに携わっています。
時間に追われ、心にゆとりがなくなってしまいそうなときや、
仕事に疲れたときには、あの日見た空港の隅にある駐機場に目を向け、
あのときの決意を思い出すようにしています。
そしてふと空を見上げて心をほんの一瞬だけど空っぽにしてみます。
あの駐機場がなければ、きっと航空業界で、航空会社で働きたい!
という決意はなかったのかもしれません。違う方向に進んでいたかもしれません。

10年近く社会人をやっているとマンネリ化してくる
部分もあるのですが、あの時の気持ちを常に忘れずに
いることがどれほど大切なのかつくづく思うこの頃です。

追伸:初めてのエッセイでなかなか何を書いて良いのかまとまらず、
    ようやく書き上げました。最後まで読んでくださった皆さん、
    ありがとうございました。
    次週はもう少しまとまった内容になるようがんばります。



 

第61話 コミュニケーション -  11 Apr.2002-


国際空港で接するお客様は当然のことながら、
日本語のわかるお客様だけではない。
英語はともかくとして、時にはこのいずれも話さない・わからない、
といったお客様のお相手をしなくてはならないことが多々ある。
行き来する飛行機の数以上にいろーんな国の言葉が
空港内を行き交っていて時には自分が今どこの国に
いるのかわからなくなってしまいそうになる。

入社したばかりのある日のこと。
私の肩を「ポン・ポン!」と叩いて呼び止める人がいる。
「誰かしらん?」と思い振り返ると何だか困りきったような
雰囲気のおばさんが目の前に一人立っていた。
どうも日本語がわからないらしい。
とりあえず、英語で「どうしましたか?」と
聞いてみたものの全く通じない。
で、ダメもとで日本語で聞いてみたものの、やはりダメ。
そうなるとこちらも不安であるけれど、それ以上に
今私の目の前にいるおばさんはもっともっと不安そうになって、
しきりに私にわかってもらおうと話している。
当然のことながらお互いの言っていることが全くわからない・・・。
 
「それではまずい!」思い直し、よーく聞いてみると、
どうやら中国語らしき言葉を話しているのだが、私にはさっぱりわからない。
そんな私の雰囲気を察してか否かは定かではなかったけれど、
おばさんは自分の状況を説明しようと、さらに話を進めていった。
身振り手振りで話してくれるものの、全くわからない・・・・・。
 
そこで私が思い立ったのは「筆談」。
中国語と日本語には「漢字」という素晴らしい共通の文字がある。
さらに遠い昔の学生時代に学んだ「漢文」を思い起こしながら、
早速メモとペンを片手に「会話」を進めることにした。
そのうちに、それまでは不安そうな表情しか見せなかった
おばさんもこの「筆談」作戦でちょっぴり安心したのか、
笑顔を見せ、バッグの中から何か紙切れをおもむろに取り出した。
なんとそこには英語で「私は英語がわかりません。 
○○から来てここで乗り継いで○○に行きます。
○○便の○○行きの搭乗ゲートを教えてください。
よろしくお願いします。」と書かれてあった・・・・。

この紙を見た私は「うん、うん」と思わず大きく頷いた。
そうするとこのおばさん、さらに満面の笑顔を浮かべ
「これ、これ!!」と言わんばかりに英語の文面を指差し
「このゲートはどこかしら?教えてくれますか?」と言っているようだった。
わかる限りの漢字と想像力を駆使して私も身振り手振りで
インフォメーションをし、ちょうど時間にゆとりのあった私は、
搭乗ゲートまで案内した。
ようやく目的地まで着くと、おばさんは満面の笑みで
「謝謝」と何度も何度もお礼を言った。
 
何か特別なことをしたわけでもなかったのに、
あんなに喜んでくれたことが何故かとても嬉しかった。
と同時に、言葉の通じないお客様とのコミュニケーションには
いろんな方法があるんだ、ということを改めて実感した。
と同時にとても大切なんだとも強く思った。

「言葉」のコミュニケーションだけではなく、
「筆談」は勿論だけど「ボディーランゲージ」という方法、
さらには「手話」だったり「点字」だったり、様々だ。
あのおばさんの笑顔はまさに、
「お客様に喜んでいただける事ができた!」
と感じることの出来る一瞬だった。



 


こんにちは。
早いものでというかようやくなのか、「週間ESSAY」を担当して3回目となります。
日記をつける、という習慣もなければ、最近はEメールや携帯メールの普及で
あまり「モノを書く」ということが無かったので、今回のこのコーナーを
担当させていただくことになったことは、仕事や自分自身をもう一度見直す、
いいきっかけとなっています。



第62話
再会 -  18 Apr.2002-


日々、空港で数百人のお客様に接していて、
お客様一人一人のことをよーく覚えているかと
聞かれると、そうではありません・・・・。 
何故かよーく覚えているのは物凄い
クレームをなされた方だったり、何かトラブルが
あった方ばかり。本当はそれではいけないのですが。

でも、ある日チェックインカウンターで
順番をお待ちのご夫婦連れのお客様を呼ぶと・・・・
「こんにちは。 この前はありがとうございました。 
またお会いできて嬉しいです。 
妻と、『また、この前のチェックインしてくれた
方に会えるといいね。』と話していたところだったのです。」
とおっしゃるではありませんか。
 
「はて???」と思いつつ、ひとまず「ありがとうございます。」
とお礼を述べたものの、思い出せません。
「一体いつ、どこで、お会いしたかしら?前回?
前回私がチェックインをしたというけど、
その時に何か失礼な事があったのかしら?・・・・
あ、でもこのご夫婦、笑顔・・・、あー、思い出せない・・・。」
私、自慢ではないけれど、結構お客様のお名前や
お顔を覚えるのが得意だったはずなのに。
その得意技も全く機能せず・・・・。

そうすると、ご主人が「数ヶ月前に利用した時に、
チェックインをしていただいたんです。
その時、フライトが満席で、別予約だった連れの
者達と席が離れてしまってたんですよ。
でも、席が近くになるようにアレンジしてくださったり、
帰国便の席をこちらで皆が並びに座れるように
リザーブしてくださったんですよ。」と。
続けて奥様が、「私と主人は何度か海外旅行をしているのですが、
連れの者はあのときが初めての海外旅行だったので、
いろいろ丁寧にやっていただきとても喜んで
いました。ありがとうございました。」
と、こちらがお礼を言いたくなるほど嬉しそうに、
私におっしゃったのです。
 
ここでようやく何とな〜く、私の記憶が
うっすらとよみがえってきました。
日々、数百名のお客様に接していて、
ほんの数分という短い時間の中での出来事、出会い、
同じお客様と再びお会いすることの確率はとても低いのに、
というより殆どなかったのに、こんなことってあるんだ、
とちょっぴり嬉しくなりました。 
お客様に、「ありがとうございます。私も記憶が定かでは無く、
すぐに思い出す事ができなかったのですが、
覚えていただいていてとても光栄です。
なかなかこんなことはないので、本当に嬉しいです。」
と、お礼を申し上げました。
 
カウンター業務も接客業と言えども、
一人のお客様と接する時間はごくわずか。 
私にとっては、数百分の一人のお客様であっても、
お客様から見たら私は○○航空を代表する一人。
極端に言ってしまえば、私一人の言葉、行動が
お客様の会社に対する印象を左右してしまうのですよね。
それまでは、「数百分の一人のお客様」というふうに
捉えがちだったけれど、この出来事をきっかけに、
「一人一人のお客様」の存在の大切さと重さを強く実感しました。
 
一時期 「機内と違って、空港業務は時間に追われているから、
お客様と会話なんて楽しむ事ができない!
そんな余裕あるわけ無いじゃない。」
なんてかなりネガティブな考えをすることもあったのですが、
このお客様との再会は私に、時間が無いからではなくて、
心のゆとりを失っていたということを気づかせてくれたのです。
「何かをしなくてはならない。」という義務感で、
仕事をするようになっていた自分にいつの間にか
なっていたことにも気づかせてくれたのです。
 
チェックインを終えたこのご夫婦は、笑顔で
カウンターを去って、出発されていきました。
そして、その数ヵ月後、またチェックインカウンターで
スタンバイしていると、列の中にどこかで見たことのある
男性の笑顔がありました。 
気づいた私は、すかさず、会釈をしました。
そう、あのご夫妻の旦那さまが、またいらしていたのでした・・・・・・。
そして勿論、「こんにちは。先日はありがとうございました。
今日は、どちらへご出発ですか?」 
と、私の方からご挨拶をしたことはいうまでもありません・・・・・。



 


こんにちは。

縁あってこちらの「週間ESSAY」を担当させていただき、
無事4回を終える事ができました。
この毎週毎週締切り間際まで何を書いたら良いのか悩みに
悩みぬきつつも、どうにか書き上げることができ、ホッとしています。



第63話 諦めない気持ち -  1 May .2002-


実は、私には「フライとアテンダントとして働く」という目標があります。
今の旅客サービスの仕事を経験したからこそ「フライトアテンダント」の
仕事への自分の本当の思いに気がついた、といって良いかもしれません。

新卒で他の業種での経験を経て、今の会社に辿りついて、
現在に至っているわけですが、それまでは、
「航空会社で働きたいけれど、英語力に自信が無い」
「学生時代に痛めた腰(長年スポーツをやっていたため)が心配」
「留学経験が無いし・・・」とネガティブなことばかり考え、
それらを理由に「挑戦すること」から逃げていたのです。
 
でも、あることがきっかけで、私の意識は180度変化しました。
今から数年前、日本の航空会社が初めて、既卒の契約制
客室乗務員を募集することになったのです。
それまでの日本の航空会社では、客室乗務員は
「新卒のみ」「正社員」「高学歴」といったイメージがあって、
特にその会社は日本を代表する航空会社でもあったので(勿論今もそうですよ)、
私にとっては一生縁の無いところなのだろう、と思っていたのです。
ところが、その募集要項には、私のこれまでの勝手な決め付けや
ネガティブな考えを一掃する物ばかりだったのです。
「学歴は高校卒業以上」「年齢は(確か)26歳まで」と
その当時の私に当てはまる条件ばかりだったのです。
私だけではなく、より多くの女性に門戸が開かれたのです。
「契約制」ということで「アルバイトスチュワーデス」とか
「パートと同じで安全が保てるわけ無い」などといろいろと騒がれましたが、
ある意味、これは社会的にも非常にセンセーショナルな出来事でした。
 
この募集広告を新聞で見つけた時、いてもたってもいられなくなりました。
「自分にも可能性があるのかもしれない!」そして「せっかくのチャンスなのに,
ここで応募をしなければ、絶対後悔するだろう」と思ったのです。
それまで、航空会社受験をしたことが無かった私には、そのノウハウが全くわからず
手探り状態での書類作成・書類添付用写真の撮影に挑みました。
偶然書店で見つけた「スチュワーデスマガジン」(あ、今は「エア・ステージ」です)
などを読みながら、自分流のプロセスを踏んでいくうちに
自分の本当の気持ちに気がついたのです。
私のやりたいこと、働きたい場所はこれなんだ!ということに。
しかし、結果は残念ながら書類通過すらならなかったのですが、
このことをきっかけにもう一度、というよりしっかり自分の気持ちと
向き合って、努力をすることを決意したのです。
そしてもう諦めないで、自分の気持ちを偽らないでいこう、と。
 
それまで勤務していた職場で、「師」ともいえる先輩に
正直にこの思いを相談したところ、「これまでの実績や将来を
捨ててでもやりがいが(フライトアテンダントには)あるのか?
航空業界はこれからかなり変動していくだろうけど、それでも生き抜
いていける力は(私に)あるのか?真剣に考えてから結論を出すべきだ」
「僕は、今の仕事(前職)は君には間違いなく適職だと思うし、
これからもっとステップアップをしていけるのだから、じっくり考えなさい。」
と、諭されました。 私にとっては、それはありがたすぎるほどの言葉でした。 
ただ、思いが強くなったから「フライトアテンダントを目指す」のではなく、
「フライトアテンダント」という職業、「航空業界」に対して
冷静に向き合うことを教えてくれたのです。
 
それから暫くして、結論を出しました。
それは、「やはり、自分はフライトアテンダントになる!」ということでした。
諦めて後悔するよりも、どのくらいの可能性があるかわからないけれど、
それにかけたいと思ったのです。 その後、仕事の傍ら、英語の勉強を再開し、
いわゆるエアライン受験スクールと呼ばれるところにも通い、
受験のノウハウは勿論のこと、沢山の事を学びました。
そうして現在の会社に転職することになりました。
 
ちょうどその頃、フライトアテンダントの募集がほとんど無かったこともあり、
旅客サービスに携わり、航空業界を肌で感じ、学びたい!という気持ちがあったので
地上職ではあるけれど、働くことにしたのです。そして現在に至っているわけです。
旅客サービスでの仕事は4年目をまもなく迎えます。やっとこの仕事の、
航空業界で働くことの大変さ・厳しさ・面白さを知ったからこそ、
「フライトアテンダント」という仕事への気持ちが確固たる物となりました。
あのとき、先輩が投げかけてくれた言葉の答えがようやく最近、
出たといって良いのかもしれません。
 
私と同じように、地上職に携わっているけれど、
「フライトアテンダントを目指している」という方は多いと思います。
何か壁にぶつかったり、挫折しそうになるかもしれませんが、
決してこの経験は回り道ではないと信じています。
他の業種で働きながら・・・という方も同様だと思うのです。
「諦めずに努力をすれば」必ず道は開けるます。
(どこかで聴いたような言葉ですが・・・・・)

最近聞いたちょっといい言葉があります。
「報われるまで努力をする」
これって「諦めない気持ち」と通じることがあると思います。
がんばります。
 
おわり。
 
 
最後に・・・・
最後まで読んでくださった皆様ありがとうございました。
初めてのエッセイということもあり、試行錯誤のまま
4回をおえてしまいましたが、とてもいい経験となりました。
日々のお仕事、勉強がんばりましょう。
かしこ
 
 
サイモンさんへのエッセイの感想、応援等のメールは
下記のアドレスまでお願いします。


peakperformance2001@hotmail.com



次回の更新は5月9日の予定です。
お楽しみに !!

 



 



south china sea
( Photo by (c)Chiaki )
 



 

= 第64話から第67話までの担当紹介! =


はじめまして。こんにちは。
国内系航空会社2年目に突入したばかりのショコラです。
経験は少ないのですが、みなさんに楽しんで
いただけたらと おもっております。
どうぞよろしくお願いいたします。



 

第64話 FIRST FLIGH -  9 May.2002 -



私たちは、訓練を終えてすぐに一人で乗務するのではなく
一週間ほどインストラクターの先輩と一緒にフライトします。
その間に訓練で習ったことがきちんとできるかチェックされ、
また訓練で習った基本のほかに、実際のフライトでの
やり方などを教えていただきます。

どきどきの初日。
緊張して寝不足気味、朝食のミールも押し込むように食べました。
周りの先輩方がゆったりと談笑しながら召し上がっている様子や、
なれた風にモニターでスポットを確認されている姿をみて
「私もこんな風になれるのだろうか」と自分が同じ制服を
着ているなんて忘れて思っていました。

ブリーフィングも終わり、いよいよ飛びます。
最初の一便目は先輩がお手本を見せてくださいます。
そして、このときに訓練と現実の違いを学びます。

最も大きな違いは「スピード」。
離陸して水平状態になり、ベルトサインが消えると
ドリンクサービスの準備に入ります。
その時に、ギャレーで準備する人と、
客室の様子を少しみて周る人がいます。
訓練時代であれば、みんなで同じ作業をしているので
「みんなでお客様の様子をみて」、
「みんなでドリンクサービスの準備を始める」
という流れになるのですが、
ギャレーに戻るとカートにはすべてモノがセッティングされ、
私が着替えるのを待っていました。
驚きながら着替えていると、先輩から
「はいショコラちゃん後ろむいて!」
といわれ、たたたっとエプロンのリボンを結ばれ
「はいっ!いってらっしゃい!」
と背中をたたかれ送られました。

初めてお人形や同期や教官ではないお客様。
ただひたすら失敗しないようにと願いながらサービスしていました。
私と先輩の引いているカートと、反対側のカートとの
距離の差はどんどんできていきます。
私が一列(4人くらい)のお客様サービスが終わると
先輩はすでに三列目の半分ほど終わっている状況。

やっと前からきた先輩とぶつかったと思ったら
セールス、新聞などのローテーション。
次は何をするんだな、と考えながらやっていた訓練と違い
次はこれやろうね、あれやってみようね、といわれている
ことをしていたら終わってしまった・・・という感じでした。

ベルトサインがついて着席し、ふっと外を見ると
制服を着てから見る雲や空は本当にきれいで、
「あー、私これから飛行機の中でお仕事できるんだ!」
と思いました。

まだあの日から一年も経っていないけれど、
あの時の気持ちを思い出すと、
どんなことがあってもがんばれる!って思います。
 


 

第65話 MD -  16 May.2002 -



こんにちは。今ここをご覧になっているみなさんは、
どちらの会社を志望されていますか?
また、どちらの会社で働いていらっしゃいますか?
志望者の方の中には「大型機で世界をまたにかけて働きたい!」
とか「クラス別の資格をとってかっこいいサービスをしたい!」
という希望を持っている方もいらっしゃると思います。
しかし、きょうは大型機にはない魅力を持った
飛行機の紹介をさせていただきたいと思います。

タイトルのMDってなんのことかわかりますか?
これは飛行機の機種の名前です。
エアバスとかボーイングならきいたことありますか?
MDは「マクドネルダグラス社」から生まれた飛行機です。
(ちなみに今はもうこの会社ありません。ボーイング社と合併したそうです)
調べてみると意外といろんなエアラインで活躍しているようです。
この飛行機、特徴というとまず「小さい」。B777が380席なのに比べると、
160席ちょっと、機種によっては130席ちょっとです。
時々小さいお子様が「なにこれー。ちいさーい。バスー?」
などとおっしゃられてちょっぴり悲しい思いをすることもあります。
(余談ですが、隣に某社のポケモンが止まっていた時に、お子様から
「あっちにのりたーい」と泣かれると辛いです。しかし先輩は
「乗っちゃったら見えないからうちにのるのがいいのに。
わかってないなー」といわれていました)
お子様に限らず小型機だとなんとなくがっかりされる方も多いのですが、
実は、座席数の多い機種よりも座席の幅が広く、棚も大きく作られています。
だから乗っている間は足も伸ばせるし、荷物も足元におかずにすむので快適です。

また、小さいから飛行高度が他機種より低いので、
他機種では雲ばかりのところが、山や街やいろんなものが見えます。
山はほんとに近いです。足元に山の頂上があったときは感動しますよ。
また、他機種では、地点案内で「お客様あちら遠くに見えます、
台形の山は富士山でございます」などといったり、
「あの山は富士山ですか?」ときかれても小さすぎて
探すのに手間取ったりするのですが、かなり大きめに見えるので
「あちらでございます」と自信を持ってご案内できます。

たくさんの特徴をもっているMDですが、業務関係での
特徴を挙げると「
CA席が変」というものがあります。
参考にがんばって絵を描いてみました。
通常飛行機は左右では左が偉いことになっています。
ですから他機種ではパーサーは一番左前に座ります。
そして一番若いCAは一番右の後ろに座ります。
そして一人一席です。
しかし、MDでは、チーフと一番下のCAが
ベンチのような席に二人で座ります。
最初はどんな先輩と一緒になるかわからないし、
そそうがあってはいけないと緊張していました。
「先輩のスカート踏んでないかな」など
所作一つ一つが気になっていました。

が、慣れてくると仕事をしながら
「先輩、今日私高知初めてです」「じゃ、今夜はかつおよ」
などという会話ができるようになります。
また、ベルトサインがついた後も要所要所で
先輩が地点を教えてくださるので自分の目で
確かめながら勉強できます。
次回に書こうと思うのですがこの地点の勉強は大変なのです。


               
(できるだけわかりやすくを心がけましたが、わかりにくかったらすみません)



キャビンウォッチをしている時「ショコラちゃんみてごらん」
といわれて小さな窓からみた夕焼けの美しさや街のきらめき、
いか釣りの船の明かり、霞の中に浮かぶ山々、流れる雲の形、
日本中でどこよりも早い北海道の黄色い景色。

私はこの飛行機に乗り始めてますます日本が好きになりました。
「移動」を「旅」に変えてくれる、そして「新しい日本を教えてくれる」
それがMDという飛行機だと思います。



 

第66話 訓練生から客室乗務員へのルート -  23 May.2002 -



スチュワーデス物語に代表されるドラマなどで、
「厳しい、辛い、苦しい」などのイメージがある訓練時代。
もちろん人の命がかかっていることなので、
浮かれて過ごすことはできません。
しかし今日はその中でも違う側面をお話したいと思います。
 
まず訓練生になったばかりの時一番気を使うのが 「敬語」 です。
掲示板でも「お嬢様言葉速修法」の話題が出ていましたが、
昨日まで日常で「〜じゃん」といっていたのに、今日から
一日の大部分を「客室乗務員見習」としてすごすので
過剰なくらい敬語になります。  訓練生同士の会話も、
辛くて親に泣きながら電話する時も、はたまた大学時代の
友人に報告電話をする時も、くどい位のですます調。
学生時代だったら「先生がきたー」だったのに
「教官がいらっしゃいました」とためらわずいえるようになり、
同期にも「横浜にお住まいですか?」などといってしまいます。
この「訓練生敬語病」は一ヶ月くらいで徐々によくなり、
使い分けができるようになります。
 
また訓練生は 「スカーフ」 にこだわります。
試験でおなじみの「スーツ+スカーフ」は訓練生時代も続き、
「そのスカーフかわいいですね」などと誉めあいます。
変な人につけ狙われる可能性が高くなるにもかかわらず
この格好をするのは、「私は訓練生なのよ!」という
誇りからきていたのでしょうか。 それとも
「自分をみてほしい」人が多いからでしょうか。
そして訓練所を出て先輩方と同じロッカーを使うようになると、
この格好をしている人が誰一人いないことに気づきます。
そしてスカーフはお蔵入りとなります。
 
次に 「襟立て」 です。 大学生の時は「ぶっている」
「かぶれている」ようでできなかったシャツの襟立て。
(なんだか大学でやると浮きません?)
しかし会社に入ってしまうとごく自然とこの格好をしてしまいます。
むしろふとしたときにチェックして「今日は右襟の立ちが甘いな・・・」
などと思ってしまいます。
ちなみに制服では完全な襟たては禁止です。
 
装飾についての話題が続いたので、前回の文章で触れた
「地点のご案内」 についてお話したいと思います。
みなさんは機内誌の後ろにある日本地図を
ご覧になったことはありますか?それぞれ地点を
結んであって飛行ルートがわかるようになっています。
私はまだお客様だったころ、この地図をみても
重なっているところでどちらに進むかわからず
四苦八苦していました。
いえ、むしろ今もしているといったほうが正しいです。
 
この「地点のご案内」は国内線客室乗務員にとって
大切なお仕事なのですが、訓練中に「東京―札幌間では
この時間に右手に〜山が見えます」など授業があるわけ
ではなく全て現場でお勉強です。 一応会社から配られる
マニュアルに飛行ルートが書いてあってフライトする前は
チェックしていくのですが、最初のうちはみてもわかりません。
また学生のころ地理の勉強でもでてこなかったような
山や湖を覚えていくのですが、やっぱり最初は全部同じに見えます。
フライトを重ね、サービスの合間やサービスが
一段楽した時にみたり、ビューポイントでは機内誌を片手に
先輩から教えていただいたりしながら勉強していきます。
だんだんと時間や飛行ルートをみたり、景色をみたりして
お客様にご案内できるようになるとちょっぴり成長した自分を感じます。
 
飛行ルートの勉強をしているときにいつも思い出す
教官の言葉があります。 それは、「お見合い席にはね、
よくマニアのお客様が座られるのよ。
『今日って〜を通って〜に行くんだよね』って話し掛けられて
すぐに答えられないとばかにされますからね。
負けちゃだめよ!」というものです。
 
そして今日も私は、一般のお客様への地点ご案内サービスのため、
来るべきマニアのお客様との勝負の日に向けて勉強をがんばっています。



 

第67話 そして今、私はここにいます -  5 Jun.2002 -



こんにちは。たくさん募集が出ているようですね。
ずっと待っていらっしゃった方、受験を始めたばかりの方、
いろいろな状況の方がいらっしゃると思います。
ぜひぜひがんばってください。

ところで、どんな人が客室乗務員になるのでしょうか?

私も受験生の時は全くわかりませんでした。
受験生の前は雲の上の存在でした。
合格をもらった後も信じられなくて、
「なんで私なんだろう」とずっと思っていました。

入社して同期をみて、最初の印象は
「いろんな子がいるんだな」ということです。
小さいころからなりたくて「私がならなくてだれがなるの!」
というタイプ。かたや志望業界を方っ端から落とされて
友達が受けているから受けてみた、という子。
おとなしそうな子。声の大きい子。小さい子。
明るい子。いつもニコニコしている子。

共通点といえば、「がんばりやさん」ということになるでしょうか。
みんな今の状況や環境を楽しみつつも、いつももっと
向上しようと無意識に思っている子ばかりだな、と思いました。
どうでしょう?ここにきて情報をチェックし、普段がんばって
いらっしゃる皆さんのことですからばっちりですね。

私もいまだに自分がなぜ受かったのか、はっきりとはわかりません。
だから学校のように何か「これっ」といったテクニックを
伝授することはできませんが、自分の受験時代のお話を
少し書かせていただこうと思います。
英語などは情報がたくさんありますので、
私は「もうやめちゃおうかな」と思ったときに
どうふんばってきたかを話します。

突如として襲ってくるこの気持ち。
試験がうまくいかなかったときだけでなく、
何気なくいわれたことに傷ついたり、反対されたり、
接客業の仕事をしているときに失敗したり・・・・・。
「向いてないのかな。」という考えがむくむくとわいてきます。
最初はその気持ちがたまっていく一方だったのですが、
「元気が出る言葉集め」「味方をみつける」「ノート作り」を始めました。

目標に向かってがんばっているときには
自分の欠点がたくさん見えて「まだ足りない」
「まだまだ足りない」と思いがちです。
また、試験で心がへとへとになってしまうときもあります。
そういう時はメールマガジンや本を読んだりして
「私は客室時乗務員になるんだー!」と思うようにしました。
そして受験している時、適性で悩んだ時は
いつもこの言葉を思い出しました。

「なりたいと思ったらそれが才能」
書く才能がない人は作家になろうとも思わない、というものです。
そしてこれだけなりたいと思ってるんだから適性あるはずだ、
と信じてやってきました。後は、ことわざを英語にしてくれて
いるものもあってそれもおすすめです。

次に「味方をみつける」というものです。
特に学生の時に就職活動をすると「就職・受験」
の話をする人が限られてきます。
いっしょに受験をする友達は「仲間」だけど「ライバル」だし、
客室乗務員試験の指導をしてくれる人は限られているし・・・・・。
その中で「君はいいところがある。君が合格するまでみてあげよう」
という人を見つけるのは大変です。
それで航空業界に限定せずに「就職活動の仕方」といった
会に参加したり、違う業界の先輩にも履歴書をみていただいたりしました。
とにかく「自分を誉めてくれる人」を探しつづけるようにしました。
人によって誉めてくださるポイントも違うので履歴書の幅も広がりますよ。

後に訓練所を出て初めて課長とお話することがあったときに
「私達の仕事はいろいろな面で特殊なことがあって、
ともすると世間の常識がわからなくなってしまうこともあります。
世界が狭くならないように今までのお友達を大切にして、
この業界以外の人ともお話をするようにしなさい。」
といわれました。
この時に自分のやってきたことは長い目で
みても間違ってなかったのかなと思いました。

最後に「ノート作り」です。
現在つけている方もいらっしゃると思いますし、
スクールに通われている方は受験ノートを
作るように言われていますよね。
企業研究などをするために作るそうですが、
私はエアステなどで文章を読んでいて
すてきだなと思った乗務員の方のお話を切り抜いたり、
貼り付けたりしていました。 また、心に残ったサービスを
書き留めたり、元気になる言葉を書いたりしました。
カレンダー付きのものにすると締め切りや試験日を書き込めて、
試験にも持っていけるので便利ですよ。

入社して、仕事をはじめて本当に楽しいです。
お客様とお話をしたり、富士山をみたり、ステイしたり、
おいしいものを食べたり、空港でお土産を買ったり。
もちろん制服をきていることも幸せです。
これから受験されるみなさまが合格を手にされて、
この幸せを感じていただけますよう心からお祈り申し上げます。

今回で最後となりました。つたない文章に
お付き合い下さいましてありがとうございました。
まだまだ私も経験不足ですが、
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
また、ご意見、ご感想がございましたら
下記のメールアドレスまでお送り下さい。
本当にありがとうございました。



essay@crew-jp.com


次回更新は6月13日の予定です。
お楽しみに

 

 



 



kix
( Photo by (c)Messy )
 



 

= 第68話から第71話までの担当者紹介! =


ショコラさんの次は某空港に勤務されている
グランドスタッフの登場です。
お仕事が大変お忙しく、自己紹介文が間に合わなかったため,
まずは第1回目となる68話を掲載いたしました!
(Crew Net)


PS
essay@crew-jp.com
宛のメールに障害が発生していたため、
しばらく不通になっていたようでした。
6月11日に異常を発見・修復いたしましたので、大変恐れ入りますが
それ以前にメールを頂いた方は、是非再度お送り頂ければ嬉しいです。

大変ご迷惑をおかけいたしました。


 

第68話 お客様 vs OJT -  13 Jun.2002 -


 
この時期、空港カウンターに必ず目にする
「実習生」もしくは「TRAINEE」というバッチを着けている方。
後ろに立っている先輩の目を気にしつつ、一生懸命な
仕事ぶりを見ているとつい 「頑張れ!」って心の中で
応援してしまいますよね。
 
さて、現在でこそ当たり前のようにカタカタコンピューターを
使いこなす私ですが、最初は典型的な「飲み込みの遅い子」でした。(汗)
入社して数日は会社の説明やらポリシー、そして、教室でチェックインの
シュミレーションをしながら専門用語などを覚えていきます。
その頃は、同期とわいわい楽しかったですねー。(笑)
制服を着ていることもとても楽しく、授業の間の休憩では
みんなでパチパチ写真を撮ったものです。
 
さて、接客のアルバイトをしたことのある私でも
いざ、ラインに入るともう緊張でガチガチでした。
お客様がいらっしゃらないときでも、後ろに座っている
トレーナーの先輩からあれやこれやと質問の嵐。
答えられないと重〜い空気が・・・ 
自分の前に長〜くつづく列の後ろから「ワン!」
なんて聞こえたら、「ぎゃ〜!PETだぁ〜お願いだから
隣の列に移ってくれ〜」って半泣きでした。(笑)

自分では目の前にいるお客様をチェックインするので精一杯ですから、
自分の前の列が動いていないなんて考えたりもしません。
しかし、朝のラッシュ時は後ろのほうから 「いつまで待たすんだー!」
なんてお叱りの声が・・・「お待たせ致しました」 「本当に待ったよ!」
こんなやりとりもありました。
手続き終了の時間が近づくととうてい私では終わらないので
「OJT AGENT(訓練生)はすぐにインストと交代してください。」という
アナウンスまで入ってしまいます。
私はそこで「ホッ!」っとするわけですが、お客様から
「最初からあなた(インスト)がやってくれれば良かったのに!」
という台詞を聞くととても悲しくなってしまったものです。
カウンターで泣いたこともありました。

しかし!やはり大抵のお客様は「おっ!新人くんだね。頑張ってね!」
というお声をかけてくださるんです。そのときはもううるうるしながら
「はい!頑張ります!」と、励まされたものです!
今では私がインストになる立場です。
やはり、新人の方の一生懸命さを見ると私も
初心に返ることができていいですね。
時間に追われる仕事ですから、てきぱきしかも正確に
仕事をこなすことが大切です。誰でも「最初」があります。
空港カウンターなどで「実習生」バッチをつけている方を
見かけたらぜひ、「頑張って」と声をかけてみてください。
それで、どんなに叱られ、失敗して落ち込んでいても
その一言でぶっ飛んでしまうんですから・・・



 

第69話 走る〜走る〜グラァ〜ホ〜(GH) -  20 Jun.2002 -


 
WCで盛り上がるこの頃。みなさんも熱狂されていますでしょうか?
私が働いている成田空港でも各国のユニフォームを着た外国人
(たまに国旗を振って歌ってます)の方をよく見るようになりました。
 
成田空港では朝、出発便のラッシュです。
特に日曜日はチェックインカウンターに並んでいる
お客様の列を見るだけでクラクラ・・・。 仕事をしている私達でも
「自動チェックインカウンターってできないのかしらん?」
と思ってしまうくらいですが、なんせお客様のパスポートや
その他ビザなど確認しなければいけないことがたくさんあってそうもいきません。
 
やっとチェックインが終わって、さぁ出国審査へ!
が、ここでもまたなが〜い列が。 まず、出発される方全員が
セキュリティー検査を通らなければいけません。
去年のアメリカでのテロ以降厳しくなり、なかなか列が動かないのです。
それから出国手続きの長い列。朝早くからチェックインの為に並んで、
ここまでくるのに3時間はかかってしまいます。
出発便は10時台がとても多くて、7時から並んでいても
もう出発時間が迫ってしまうわけです。
 
出発時間が迫り、搭乗していないお客様の数が
少なくなってくるとそのお客様を探すべく、トランシーバー
片手に私達は長い長い列に向かって叫ぶことになります。
お客様は何時くらいにチェックインをされたのか。
女の子二人組みならもしかして、時間も忘れて
免税店で買い物をしているのかも・・・? 
「○○便でソウルまでご出発のお客様お知らせ下さい!」 
先ほども触れましたが、この時間は出発便のラッシュ!
ソウル行きじゃなくったって、みんなこっちを見て
どんどん手を上げてくださいます。
「お客様ソウルですか!あ、違う?でも出発が10時20分?
うーん。ごめんなさい!あなたはもう少しこの列で待っていてください。
あとでまた着ますから!」 そうこうしているうちにゲートから連絡が。
「残りあと一名!名前は・・・」 
今度は名指しでガンガン叫ぶわけですが、
この姿ははっきり言って美しくないです。(汗) 

実際館内放送も流れている中でお客様を探すのはかなり大変。
声がかれてしまいそうです。しかも、うるさい。
私もお客様から 「うるさいなぁ。さっきから聞こえてるよ。
ここにはいないよ。」とちょっとこぼされてことが。
しかし!そんなことは気にしていられません。
こちとら抱えてる便が何本もあって、少しでも遅れず出したい!
お目当てのお客様を見つけたらすぐゲートに連絡して、
そこからダッシュ!サッカー選手もびっくりです。
「お客様が最後ですよ!急いでください。飛行機が出発します!」 
息も上がっているので口調がきつくなってしまうのですが、
しかし飛行機の中には今か今かとお待ちになっているお客様が
何百人もいるのです。お客様のせいではないのは分かるので
こちらも心苦しいのですが、とにかく急いでもらわねば。
やっとのことでALL ONBOARD。
飛行機はあわただしかったゲートをあとに滑走路へ。

ホッとしたのもつかの間。またまた連絡が。
「マニラ行きのお客様がまだ2名来ない!!!」
ん、マニラ?えぇ〜!9時50分発ではないか!
マニラ行きのお客様はちょっと特徴があってとにかく荷物が多い!
よく空港までお運びになりましたね〜って感心しちゃいます。
先ほどのお客様のように見つかってすぐゲートに行けるなら、
少しくらい重い荷物だって持ってやるぜ!が、しかし。
結構あるフィリピン国籍の方の出国トラブル。
出国カードの書き方が分かりませんくらいならかわいいものの、
うっかりオーバーステイ、日本への再入国許可証申請忘れなんてのはOH ! NO〜!
この場合緊急的な手続きをとって出国できる場合がありますが時間はかかります。
書類に必要な手続き料をお客様に頂いて、今度は郵便局に印紙を
GETするためまたまたダッシュ! あまりに時間がかかりそうな場合は
そのお客様に搭乗いただけない場合もあります。
じゃーもうドア閉めますというわけにもいかず、
そのお客様がお荷物を預けていた場合、あの何百個の荷物の
中から探して荷物も一緒に降ろさなければいけないのです!
 
こうしてバタバタと過ぎていく朝の空港ですが、やはりなんとか定時に出発し
その飛行機を見送るときには、それなりの達成感があります。
乱れた髪の毛と制服のスカーフを直して、時計を見るともうお昼の時間。
運動?した後のご飯がおいし〜!さ、遅番に引き継ぐまであと少し、頑張るぞ!


追伸

第1回目までに間に合わなかったため
遅ればせながらここで簡単に自己紹介をさせていただきます・・

 
24歳女性地上職 趣味:旅行 みんなでわいわい飲むこと!
 勤務地は成田空港です。国際線を担当してます。
 入社4年目でやっと(?) 一人前に仕事ができるように
 なってきた今日この頃・・・。
 


 

第70話 ドキュメントのお話 -  27 Jun.2002 -


 
現在国際線を担当させてもらっている私は、
今までにもこの「ドキュメントトラブル」というものを経験してきました。
チェックインの際、また最近では特にアメリカ線、カナダ線では
搭乗の際にもパスポートなどのドキュメントの再チェックがあります。
新人の頃は、パスポートを見てもどこの国かも分かりませんでした・・・・・(恥)
 
パスポートが必ず英語で表記されているとは限らず、
例えば名前や誕生日が手書きだったりするわけですが
アルファベットも国によって癖があって、私達が見ても読めなかったりします。
「なんじゃ〜、このパスポートは!う〜ん。読めん・・・・・・・汗」と、
じーと見つめ関係ないページをペラペラ・・・・。 お客様のなかには
「そうそう、分かりにくいでしょう?これが名前で有効期限がこれで・・・」
と自ら教えて下さる方もいれば、ジロジロ見られて
気分を害される方もいらっしゃいます。

私の経験から言えば、後者の方が多いので、今では私のほうから
「すみませ〜ん、経験不足なもので、こちらのパスポートを
拝見するのは初めてなんですぅ〜。←ウソ。」なーんて、
和やかな雰囲気を作って教えてもらったりします。
ロシアのビザなんてぜーんぶロシア語!よ、読めない!!!
でも、ビザが偽造かなんかはもう回をこなして分かるし、
後は有効期限の場所さえ覚えていればOK!
数字を作ってくれた人、ありがとう!
おしゃべり大好きな私は、時間さえ許せばその
パスポートを見てどんどん話かけちゃいます!
「わっ!すごい分厚さ!よく海外に出かけられるんですね?」
「ん〜?随分若いですね〜?や!今でもとってもいけてます!」
「すんげ〜作り笑顔だ・・・今と全然違うんじゃん???←心の声。」なんてね。
 
有効期限内であればOKという訳ではありません。
出かける国に対して、国籍によってはビザが必要なときもあります。
実際、このビザを取り忘れて旅行を取りやめなければ
いけなくなった方もいるんです。 日本人で言えば、例えば中国、
ペトナム、インドなど。現地で到着してから取得できる国(エジプトなど)
もありますが、ほとんどは出国時に取っておかなければいけません。
ツアーに参加してしている方は、旅行代理店があらかじめまとめて
取得してくれることが多いのですが、個人で旅行している人のなかに、
知らなかった、なんて人もいます。
もちろんそんな方でも出国はできるんです。
ただ到着して当然入国を拒否されますから、日本に送り返されてきます。
その際、その方を旅行させた航空会社に対してファイン(罰金)がかかります。
ですから、私達はニコニコしながら真剣に目を光らせます!
 
日本人の場合、ほとんどの国に対してビザが免除されます。
アメリカやイギリスに旅行する際にわざわざビザを取得しませんよね?
ただ、これにもルールがあります。アメリカの場合、パイロットプログラムといって、
3ヶ月以内、プラス帰り、または第3国に出る航空券を持っていることが条件です。
これに当てはまらない場合、日本を出発することはできません。
私が一度、お客様に怒鳴られた例。
「私は高校の時、留学していてWORKING PERMISSION CARDもあります!
帰りの航空券は向こうの方が安いので現地で買います!!!」
「ですが、留学の時にとったF−1ビザはもう切れていますし、
このカードは入国の際に何の効力もありません。もし、今日出発されるというなら、
こちらでお帰りの航空券を購入していただく必要があります。」
しか〜し!当日に買う正規運賃の航空券はぶったまげるくらい高いです。
当然お客様もぶったまげます。(苦笑)
その方には、ゆっくり落ち着いてからもう一度入国に関する説明をして、
その日の出発はあきらめていただきました・・・
そんな私も一度、イギリス入国の際、何時間も閉じ込め
られて質問を受けた経験の持ち主なのです!!!
今や、日本を初め、失業率が高い国がたくさんあります。
そんな国では安くとも働きにくる、外国人を嫌うのでしょうね。
イギリスの入管は泣く子も黙る!といいます。日本もしかり。
 
日本に対して、ビザなし、または偽造パスポートを使って
入国を試みる方もいます。当然、そんな方たちは自国に
返されるわけですが、私達に彼らの実情を訴えてくることもあります。
「私は国にいる家族を養うためにどうしてもここで働きたい!
このパスポートを手に入れるために内臓を売ったんです!!
この傷を見てください!!!」涙ながらに訴えかけてくるわけですが、
ここからは私達にはどうすることもできません・・・
一生懸命覚えたであろう日本語を話しかけ
られたときは私も涙してしまいました・・・
 
空港で働いていると、本当にいろんな目的で
旅行をされている方がいるだなぁと思い知らされます。
実際、私の仕事はお客様と接するのは一瞬かもしれません。
どのようなバックグラウンドを持った方にも、
やはり気持ち良く旅行をしていただきたい・・・
一瞬の接点かもしれないが、今日も来る方来る方に
「HELLO!」から始まり。 無事目的地まで到着するよう、
また日本に元気に帰ってきてくれるよう、願ってやみません。
 


 

第71話 「空港で働く!」私の夢。 -  4 Jul.2002 -


 
楽しくエッセイを紹介させて頂いてきましたが、
今回がいよいよ最後。 どんなことを書こうかなぁ。と、
いろいろ考えたのですが、私が現在の仕事に興味を
持ったきっかけを紹介させて頂こうと思います。
 
私が飛行機を利用したのは高校生のときでした。
一人で(注1)HKG経由(注2)LHRへ
語学留学のためイギリスへ行ったときです。
外資系の航空会社利用で、当時関西空港が開港して間もないころ。
右も左も分からず、空港で働く人がとてもかっこよく見えました。
このとき、スタッフの方々には本当にお世話になったなぁ・・・←遠い目。
 
まず、搭乗手続きが必要なのですが、
どこへ行っていいやらさっぱり分からず。
空港の案内カウンターへ助けを求めました。
「どのカウンターへ行けばいいのか分からないのですが・・・」
「はい、どちらの航空会社をご利用ですか?」
「? 今日イギリスへ行くんです。」
「どの航空会社で?」
「さぁ・・・・(笑顔でごまかす)」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
 
実際いるんですよぉ。私のようなおっちょこちょいな方が。(笑)
どちらへご出発ですか?と伺っても、
「アメリカへ行くんです。」
「そうですか。アメリカのどちらまで?」
「いやぁ〜、娘に旅行をプレゼントしてもらってねぇ。
チケットを送ってもらって。空港に来るようにしか
言われてないんだけど・・・。」
「では、チケットを拝見してよろしいですか?」
「はて?チケットって?」
「・・・・・・。航空券送られてきたんですよね?」
「あ、これ?」←団体カウンターへ来てくださいというパンフレット。
「お客様、まずカウンターで代理店から航空券を受け取らないと。
その後、搭乗手続きですよ。」
ん、さっきからしきりに悲痛にアナウンスを流す代理店があったけど・・・
同じ。んん〜!時間がなーいっ!この人じゃないのーっ!!!
 
ツアーで旅行を経験した方ならご存知だと思うのですが、
通常出発日に航空券を指定されたカウンターで受け取り、
その後各自でチェックインをするわけですが、代理店が集合
をかけるのはだいたい出発予定時刻の3時間〜2時間前。
国際線の場合、40分前には搭乗手続きを締め切ってしまう
わけですが、もしオーバーブッキングなんかしている場合、
席がスタンバイの人にリリースされることもありますし、
事前座席予約でせっかくお隣同士にしていてもほどかれて
バラバラにしか席をもらえなかった、なんてことになったりします。
 
「お、おじいちゃん!急がないと!飛行機出ちゃいますよっ!」
「やぁ、初めてだから分からんのですわ。
おじょーちゃんそこまで連れていってもらえんかな?」
(普段は家族でもないのにお姉ちゃん言うなっ!って思っても
このようなお客様に言われるともうほっとけない〜)
そのときは自社の便だったということもあり
なぜか?私一人荷物を抱えダッシュ!
顔と服装は覚えたから、とりあえずクローズ
されるまえに知らせなきゃ!
 
さて、本題へ。なんとかカウンターを調べ、チェックイン。
今はセキュリティーが厳しくなりましたが、そのときは
出発する人以外もカウンター内に入ることができたにも関わらず、
「お父さんとお母さんはこの先は入れないよ。
私しか入れないんだからねー。」と、得意になっていたくせに、
スタッフに対して緊張しまくり!パスポートは?チケットは?
荷物の中に壊れ物ない?と、聞かれるままなんとか無事終了。
家族としばしの別れを惜しみつつ、そろそろゲートに行く時間になりました。
が! 家族も初めてならば、当然私にとっても新幹線感覚。
もちろん、ゲートまでに出国手続きがあるなんてことすっかり忘れていて、
私が出国審査場へ向かったのはなんと出発の20分前!!!
運良く混んでいなかったので、比較時間はかからなかったのですが、
なにやら向こうからすごい形相で走ってくる人が・・・ 

「○○様ー!いらっしゃったらお知らせくださーいっ!」
「あ、はーい!←ばか」「お客様ー!最後ですよ!急いでくださいっ!!!」
正直、そんなに怒んなくったって〜、って思いましたが、
ゲートが遠い!!!シャトルに乗った一番先のゲートだったのです・・・・ 
ゲートで謝りまくったのは言うまでもなく。
CABINでも「こいつを待っていたのか。」って空気が。
クスン。ごめんなちゃい。 しかし、汗だくの私にクルーの方が
「お水でも持ってきます?これおしぼりどうぞ。」と声をかけてくれて。
カンドー!(ToT)
 
HKGに着いてから、また次ぎのゲートへ行くわけですが、当然分からず。
警備の方に5回くらいパスポートを見せるよう言われました。
なまった英語(ネーティブでも分からなかったでしょうけど。)
が分からず、イエス!を連発。
多分「ここは何もないから出発階に行きなさい。
お店もたくさんあるよ」と教えてくれていたんでしょうが、
分からなかったので同じ椅子に座りつづけていました。
乗り継ぎ時間はなんと13時間。
今なら「ちょっとHKGの街に繰り出すか。」ですが、
私は同じところに10時間近くいたんです。

そのとき、私は姉からの手紙を何度も読み返していました。
向こうに着いたら読んでね、と言われていましたが
ヒマだし、と封を切ったのです。
頑張れ!って内容のものでしたが、
初めての外国、ひとりぽっち、言葉も分からず
いきなりブワーっと泣き始めてしまいました。
さっき会った警備のが来て、「君!まだここにいたのか!(多分)」
ドントウォーリーと言ってくれたのは分かりました。
そして私を連れていってくれたんです。
怖い顔でしたが、とっても親切な方でした。
 
私がいたところからわずか5分で、出発階のにぎやかなフロアへ。
「なーんだ。お店たくさんあるやーんっ!あ、そういえば
機内で免税店で使えるクーポンもらった〜☆」
なんて思ったのもつかの間、搭乗時間。とほほ。 
今度は大阪からの機内ほど日本人のクルーの数は
減ったような気がしましたが、それでもとても親切に接してくれました。
もしかしたら旅慣れない日本人がいるぞというINFOがいっていたのかなぁ?
やけに気にかけていただいてとっても安心したのを覚えています。
 
すったもんだの旅もいよいよ終わり!さぁ、いざ入国審査へ!
聞かれるであろう質問は丸暗記したし、いざとなれば
入学書類を見せればいいや!それも甘かったのです。
最初はスムーズに行ったものの、途中からの質問がさっぱり分からず。
やはり笑顔でごまかしていたら、入管スタッフにため息つかれ、
な、なんと審査室へ連行されたのです!
持ち物検査に身体検査、挙句の果てに
「Are you pregnant?(注3)」 単語が分からず
首をかしげていると、お腹をさすってベイビー? 
マジ!まだ16やっちゅうねん!まったく失礼しちゃうわ!
6時間ほどの拘束のあと、なんとか入国。
その間も航空会社のスタッフがとても心配してくれていました。
今思えば、虚偽申告で強制帰国なんてことになると
その会社に罰金がかかるのでその心配も少しはあったのかなぁ・・・
 
帰国後、就職を考える時期になり、当然これらの経験から
空港での仕事に興味を持ったのは言うまでもありません。
英語の勉強が役立ち、かつ多くの人と接する仕事がしたかった私。
自分に適性があるかどうか、自問自答でした。
他の職業も当然受験しましたが、空港で働くという夢は
どんどん大きくなるばかりでした・・・
 
空港では本当に様々なドラマがあります。
今日では海外旅行も遠い夢ではなくなりましたが、だからこそ
利用される方みんなに気持ち良く、楽しい思い出作りのお手伝いがしたい!
まだまだ未熟な私。お客様や仲間から教わることの多い毎日。
飛行機が飛んで行くのを横目に今日も「May I help you?」
 
(注1)HKG:香港
(注2)LHR:ロンドン
(注3)pregnant:妊娠している




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